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ドボベット軟膏 院内勉強会



本日は昼休みの時間を利用して協和発酵キリン(株)さんによる「ドボベット軟膏院内勉強会」を行いました。

ドボベット軟膏 院内勉強会

ドボベット軟膏は「尋常性乾癬」に適応のある外用剤で、2014年9月から国内での販売が開始されました。ドボベット軟膏は2種類の薬剤を1つにまとめた配合剤で、1つはステロイド外用剤(ベタメタゾンジプロピオン酸エステル:リンデロン-DP軟膏)、もう1つはビタミンD3外用剤(カルシポトリオール:ドボネックス軟膏)の組み合わせです。

当院でも既に多くの患者様へ処方している薬剤であり、治療効果も高く、現在では尋常性乾癬治療には欠かせない外用剤となっています。

本日の勉強会では「尋常性乾癬外用療法の系統的レビューおよびメタ解析」を2つ紹介していただきました。

1つ目は「Kerkhofらによる系統的レビューおよびメタ解析」で、電子データベースから検索された抄録843本のうち、条件に合致しかつ評価に値する19の論文を元にしたものです。評価は「各治療法における治療開始4週間後のPASI75達成割合」です。PASIとは尋常性乾癬の重症度を示すスコアのことで、PASI75とは治療によってPASIスコアが75%改善したことを示します。

<PASI75達成割合>
・プラセボ 7%
・カルシポトリオール1日2回 30%
・ベタメタゾンジプロピオン酸エステル1日1回 30%
・ベタメタゾンジプロピオン酸エステル1日2回 42%
・ドボベット軟膏1日1回 51%

ドボベット軟膏は配合剤ですから、予想通り最もよく効いています。予想外だったのは「カルシポトリオール1日2回」と「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル1日1回」が同じ30%であったことです。自分自身、カルシポトリオールに「ベタメタゾンジプロピオン酸エステル1日1回」と同程度の有効性を感じていなかったため、この結果は大変興味深かったです。

また尋常性乾癬治療を得意としている先生の講演を以前聴いた際に、「ドボベット軟膏を処方すれば二人に一人は改善します」という発言を覚えていたので、「ドボベット軟膏1日1回 51%」というのはまさにその通りだなと思いました。

2つ目は「Samarasekeraらによる系統的レビューおよびメタ解析」で、電子データベースから検索された記録2,619本のうち、条件に合致しかつ評価に値する39の論文を元にしたものです。評価は「各治療法における病変消失、もしくは病変ほぼ消失の達成率」です。主要な結果を記載します。

・Very Strongステロイド外用剤1日1回 47.9%
・Very Strongステロイド外用剤1日2回 62.4%
・ドボベット軟膏1日1回 70.9%
・Strongestステロイド外用剤1日1回 67.9%
・Strongestステロイド外用剤1日2回 78.2%

臨床的にはStrongestステロイド外用剤で効果不十分な患者様に対しドボベット軟膏を処方し良好な結果が得られたことを経験しているため、「ドボベット軟膏1日1回 70.9%」と「Strongestステロイド外用剤1日1回 67.9%」は順当かなと思います。

2つの解析結果からもドボベット軟膏は非常に有効性の高い薬剤であるといえます。

今後の検討は有効性ではなく、「いかにスムースにドボベット軟膏を減量し、ビタミンD3単剤に切り替えていくか」だと思います。ドボベット軟膏もステロイドが含まれているわけですから、漫然と使用し続けるのではなく、適切なタイミングで減量、もしくは中止が理想的です。

ただ従来のステロイド単剤→ビタミンD3単剤という切り替えでは、ビタミンD3の効果が発揮されるまでに使用開始から数週間のタイムラグがあり、切り替えの際には色々な工夫が必要でした。しかしドボベット軟膏はビタミンD3(カルシポトリオール)を含んでいるため、ビタミンD3単剤への切り替えが容易になるのではないかと考えています。

当院はこれからも引き続き「尋常性乾癬治療」に関して積極的に取り組んでいきます。



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