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コムクロシャンプー 院内勉強会



本日は昼休みの時間を利用して、マルホ(株)さんによる「コムクロシャンプー0.05% 院内勉強会」を開催しました。本薬剤の保険適用は「尋常性乾癬の頭部病変」となっています。

コムクロシャンプー勉強会

コムクロシャンプーは「クロベタゾールプロピオン酸エステル」というステロイドが含まれているシャンプー様外用液剤です。

本薬剤の最大の特徴は「Short contact therapy」にあります。日本語訳にすると「短期接触療法」になるかと思います。外用薬の使用方法といえば、通常「塗ったら、塗りっぱなし」ですよね。それに対して、コムクロシャンプーは「塗布後、約15分したら洗い流してください」と、皮膚に薬液を接触させている時間が指定されている珍しい薬剤です。その接触時間が非常に短いこともあるため、「Short contact therapy」という表現が用いられています。

具体的な使用方法としては、「1日1回、乾燥した頭部に患部を中心に適量を塗布し、約15分後に水、または湯で泡立て、洗い流す」です。

実際に自分でも試してみましたが、塗布後に液垂れすることもなかったですし、泡立ちも良好でした。洗い上がりも髪がギシギシすることはなかったので、男性であればこれ1本だけでいいと思います。女性スタッフが試した際には、通常のシャンプーに比べて洗い上がりにやや髪がツッパルため、コムクロシャンプーの後に手持ちのシャンプー&リンスが必要だったとのことでした。

製薬会社からの資料においても「コムクロシャンプー使用後に、必要であれば市販のシャンプー、及びリンスを使用してもOK」となっていますので、この点に関してはお好みに合わせてということになります。

コムクロシャンプー使用において重要なのは、「髪、及び頭皮が乾燥した状態で使用する」という点です。濡れた状態での使用は液垂れを起こす可能性がありますし、それによって頭部以外の皮膚にコムクロシャンプーがついてしまうと、オデキ(毛嚢炎)という副作用を誘発する可能性もあります。

「乾燥した状態」であることを考えると、使用する場所は浴室ではなく、洗面所などになるかと思います。頭部を濡らさないよう注意しても、浴室内は高温多湿で汗をかきやすい環境です。浴室内での湿度、汗の悪影響を考えると、入浴前に着衣のまま使用していただくと良いでしょう!

使用方法上は「浴室内での使用も可」なので、どうしても浴室内で使いたい場合は、薬剤の液垂れに注意しつつ15分待っていただいても結構です。ただし、15分間の待ち時間中における「シャワーキャップなどの頭皮全体を覆うものの使用は不可」となっていますのでご注意ください。

コムクロシャンプーとこれまでのステロイド外用液はどちらが便利なのでしょうか?

コムクロシャンプーで最も問題となるのが「15分間の待ち時間」です。自分自身での試用前には「15分間そのままにして待っているというのは、ハードル高そうだな」と思っていましたが、実際に使用してみると、液垂れもありませんし特別な注意を払うことなく待つことができました。使用回数は1日1回で、洗い流せるため頭皮はさっぱりしています。

ステロイド外用液は単純塗布するだけなので、コムクロシャンプーに比べ使用方法は簡便です。使用回数は1日2回なので、「朝塗るのが大変」という患者様も結構いらっしゃいます。また、薬剤の種類によっては、使用後に頭皮がベトベトするものもあるため、こういった使用感が問題となるケースもあります。

どちらも一長一短ありますが、「頭皮乾癬の病変が広範囲、もしくは頭皮全体及んでいる場合は、コムクロシャンプーの方が便利なのでは?」と思います。

最後に臨床成績をご案内します。こちらは「頭部の尋常性乾癬患者を対象とした第III相臨床試験」です。PSSIとは「Psoriasis Scalp Severity Index(頭部乾癬重症度指標)」の略で、症状の重症度と病変面積を計算式に当てはめて、0〜72点の範囲で評価する指標です。「PSSI 75」とは使用前に比べ、頭部乾癬の重症度が75%減少したことを示します。

・コムクロシャンプー使用4週後のPSSI 75達成率 約30%

・コムクロシャンプー使用4週後のPSSI 50達成率 約58%

・コムクロシャンプー使用4週後の掻痒(かゆみ)評価指標 約51%減少

コムクロシャンプーの発売日は平成29年7月11日です。入荷後、当院での処方を開始いたします。

【追記(2021-03-07)】
2021年2月24日より「頭部の湿疹・皮膚炎」に対し、コムクロシャンプーが保険適応追加となりました。
詳細は「コムクロシャンプーが「頭部の湿疹・皮膚炎」に対し処方可能となりました!」をご覧ください。



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