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11.172017
【セミナー】劇的に進歩していく乾癬治療のまとめ
少々前になりますが、オークラ千葉ホテルにて開催された「千葉県皮膚科医会学術講演会」に参加してきました。
■演題 乾癬治療のUP DATE
■演者 日本医科大学大学院 皮膚粘膜病態学 教授 佐伯秀久先生
まず初めに乾癬治療の歴史をご紹介され、それに沿う形で講演が進んでいきました。
・1993年 活性型ビタミンD3外用剤
・2002年 ナローバンドUVB照射療法
・2010年 生物学的製剤
・2014年 ステロイド+活性型ビタミンD3配合外用剤
・2017年 アプレミラスト(オテズラ錠)
【活性型ビタミンD3外用剤】
・乾癬における寛解維持に最適
・表皮細胞増殖抑制作用、表皮細胞分化促進作用、サイトカイン産生抑制作用、免疫調節作用など
・効果発現までに約8週間
・効果はVery Strongクラスのステロイドと同程度
最初に発売された活性型ビタミンD3外用剤は「ボンアルファ軟膏」という製剤でした。ビタミンD3が低濃度だったため効きが悪かったのですが、その後発売された「ドボネックス軟膏」、「オキサロール軟膏」、「ボンアルファハイ軟膏」という高濃度製剤となってからは良い薬剤となりましたね。
私自身は「顔面にも外用可能」、「1日1回塗布でOK」というボンアルファハイ軟膏を気に入っています。
【生物学的製剤】
・乾癬の炎症メカニズムにおける重要なサイトカイン(TNF-α、IL-12、IL-23、IL-17など)の働きを抑制する薬剤
・点滴や注射で投与
・これまでにない高い効果を発揮する反面、重篤な副作用にも注意が必要なため、限定された医療機関のみの取り扱い
私が開業してから発売された薬剤のため、使用する機会もなく、何となく遠い存在となっていたのがこの「生物学的製剤」です。本日、「乾癬の炎症メカニズムの流れ」と絡めて6種類の生物学的製剤の特徴を解説して頂けたので、大変有り難かったです。
【ステロイド+活性型ビタミンD3配合外用剤】
・長く待ち望まれていた配合剤の第一弾として、2014年にドボベット軟膏が発売
・乾癬患者様が抱える日常的ストレスの第三位に「毎日薬剤を外用しなくてはならない点」があり、1日1回の外用で十分な改善効果があるという特徴は画期的
・PASI75達成率が約50%
効果判定に使用されるPASIとは「Psoriasis Area and Severity Index」の略で、乾癬の代表的な重症度評価法です。PASI75とは「治療前と比べPASIスコアが75%改善した」という状態を指し、薬剤臨床試験における1つの目安となっています。
「PASI75達成率が約50%」を分かりやすく表現すると、「使用した患者様の2人に1人が劇的に改善する」ということになります。
私の臨床経験でも「ステロイド+活性型ビタミンD3配合外用剤」によって多くの患者様が改善していますし、何よりデルモベート軟膏(最も強力なステロイド外用剤)でも改善しなかったような難治性病変が、本配合剤で改善していく様子を何度も診察しています。この効果には本当に驚きます。
【アプレミラスト(オテズラ錠)】
・乾癬患者様の免疫細胞や表皮細胞では、PDE4(ホスホジエステラーゼ4)の過剰発現によりcAMP濃度が低下。それにより炎症促進系サイトカイン(TNF-α、IL-23、IL-17、INF-γなど)の産生UP、炎症抑制系サイトカイン(IL-10など)の産生DOWNを生じる。
・本薬剤内服によって「PDE4阻害→cAMP濃度上昇→炎症促進系サイトカインDOWN、炎症抑制系サイトカインUP」
・PASI75達成率が約33%
・掻痒感(かゆみ)を早期に抑えるという特徴がある
現在私が最も気に入っている乾癬治療薬、それがこの「アプレミラスト(オテズラ錠)」です。その理由は単純に「高い有効性、少ない副作用」だからです。
乾癬の内服治療薬として25年ぶりに発売となった新薬だったので楽しみにしていましたが、期待通りの効果を発揮してくれています。
佐伯先生は「日本におけるオテズラ錠の薬価は世界最安値」と言っていました。米国では約5倍の価格だそうです。ちなみに爪白癬外用治療薬であるクレナフィンも、日本に比べ米国では約10倍の価格と聞いています。いろいろな問題点を指摘されてはいますが、日本の保険医療制度はやはり素晴らしいです。
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