デュピクセントの作用機序・効果・費用・助成制度 | 松島皮膚科医院 | 千葉 四街道の皮膚科・美容皮膚科の専門医

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デュピクセントの作用機序・効果・費用・助成制度



少々前になるのですが、今月上旬にサノフィ(株)さんによる「アトピー性皮膚炎の新規治療薬(注射薬) デュピクセント(デュピルマブ)」の院内勉強会を開催しました。

デュピクセント院内勉強会2018-1

デュピクセントという薬剤(注射薬)について、公式には以下のように解説されています。

IL-4/13によるシグナル伝達を阻害し、アトピー性皮膚炎の病態に深く関与するTh2型炎症反応を抑える、世界初のヒト型抗ヒトIL-4/13受容体モノクローナル抗体(生物学的製剤)です。

難しいですよね・・・。医療関係者でなければ全く理解不能だと思います。難しい単語が3つも含まれているので、もう少し分かりやすく解説したいと思います。

アトピー性皮膚炎を悪化させている反応が「Th2型炎症反応」です。「Th2型炎症反応」については後ほど詳細を述べますが、とりあえず今の段階では「Th2型炎症反応が強くなる→→→アトピー性皮膚炎が悪化する」とご理解ください。

IL-4やIL-13はサイトカインと呼ばれる「体内の細胞同士の情報伝達を行うタンパク質」です。こういったタンパク質が体内には無数にあるわけですが、アトピー性皮膚炎(Th2型炎症反応)に深く関連しているのがIL-4とIL-13になります。

受容体とは細胞表面にある「鍵穴」のようなもので、サイトカインは「鍵」に相当します。「鍵穴に鍵が入る」、つまりサイトカインが受容体に結合することで情報伝達が完了します。一般的に「◯◯受容体抗体」と呼ばれるものは、その受容体に結合して機能させなくするものです。デュピクセントは「IL-4/13受容体抗体」なので、「IL-4とIL-13の受容体が持つ本来の機能を失わせる薬」ということになります。

まとめると以下のようになります。

デュピクセントを注射する

その成分が「IL-4受容体・IL-13受容体」に結合し、それらが機能しなくなる

Th2型炎症反応が弱まる

アトピー性皮膚炎が良くなる!

以下は作用機序に関する詳細です。難しく感じる方は、飛ばしていただけても結構です。

IL-4受容体とIL-13受容体はそれぞれ2つのサブユニットから成っています。下図(公式サイトより引用)のように「IL-4Rα/γc」というサブユニット同士が結合して構成されている受容体が1種類、もう1種類は「IL-4Rα/IL-13Rα1」という組み合わせです。

両者に共通しているのが「IL-4Rα」というサブユニットです。デュピクセントはこの「IL-4Rα」に結合することにより、IL-4受容体とIL-13受容体の両者の機能を阻害することができるのです。

デュピクセント院内勉強会2018-2

デュピクセントによってIL-4・IL-13の作用が抑制されると、下図(公式サイトより引用)のようにアトピー性皮膚炎に深く関わっている「Th2型炎症反応」が全般的に軽減します。

デュピクセント院内勉強会2018-3

デュピクセントによって「Th2型炎症反応によるAD(アトピー性皮膚炎)病態への影響」という項目が、全て逆方向に作用すると以下のようになります。
・皮膚バリア機能の強化、感染に対する防御機能の強化
・掻痒(痒み)の抑制による掻破行動の軽減、及びそれに伴う皮膚バリア機能の保護
・皮膚における炎症の軽減

素晴らしいです! これらを裏付けるデータも臨床試験にて得られています(公式サイトより引用)。

ステロイド外用薬で効果不十分な中等症以上のアトピー性皮膚炎の症状を改善しました(ステロイド外用薬との併用療法)。

■そう痒NRS(数値評価スケール)スコア変化率は投与開始後2週時には有意な低下を示し、16週時には-56.6%でした。
■EASIスコア変化率は投与開始後16週時に-80.1%、52週時に-85.0%でした。

このデータを簡単に表現すると、「デュピクセントを4ヶ月継続したところ、アトピー性皮膚炎の重症度は約80%改善した。痒みという点では約60%軽減した」ということです。そもそも「ステロイド外用薬で効果不十分な中等症以上のアトピー性皮膚炎症例」を対象とした臨床試験ですから、軽症の方は含まれていません。そう考えると、この結果は評価に値すると思われます。

デュピクセントは「これまでにないほど優れたアトピー性皮膚炎治療薬」となる可能性があります。治療の選択肢が増えたということは、患者様にとっても朗報です。しかしながら、こういった生物学的製剤に共通した特徴として、薬剤費は非常に高額です。

デュピクセントの薬剤費は1本あたり「81,640円」です。3割負担の方で「24,492円」、1割負担の方で「8,164円」です。使用量は初回が2本、それ以降は2週間ごとに1本ずつ注射していきます。

まとめると以下のようになります。

【3割負担の方】
・初回(2本) 48,984円
・2回目以降(1本) 24,492円 

【1割負担の方】
・初回(2本) 16,328円
・2回目以降(1本) 8,164円 

デュピクセントは高額な治療のため、「医療費の助成制度」に関する冊子が作成されています。助成制度には複数の種類(高額療養費制度、負荷給付制度、医療費控除、医療費補助制度など)があり、内容も非常に複雑です。理解を深めるためには、こういった冊子をご活用いただくとよろしいでしょう。

デュピクセント院内勉強会2018-4

当院では「デュピクセントを使用される患者さんへ」と「知っておきたい医療費の助成制度について」という冊子をご用意しております。ご希望の方はお気軽にお申し付けください。

「デュピクセントによるアトピー性皮膚炎治療」を希望される方は、まず一度ご来院いただければと思います。診察の上で、デュピクセントによる治療の適否などを説明させていただきます。

どうぞよろしくお願いします。



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