デュピクセント治療まとめ② (9ヶ月間・29名)【運営と在庫管理】 | 松島皮膚科医院 | 千葉 四街道の皮膚科・美容皮膚科の専門医

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デュピクセント治療まとめ② (9ヶ月間・29名)【運営と在庫管理】



「デュピクセント治療まとめ①」では、当院にてデュピクセント治療を受けて頂いている患者様が非常に多くいらっしゃることをお話しました。本薬剤はアトピー性皮膚炎(以下、AD)治療薬として初の注射薬であること、要冷蔵であること、さらに常温に戻すために長い時間を要することなど、少々気難しい面があります。そのため各種マネージメント、薬品の取り扱い、そして在庫管理など色々と苦労しました。

本日の記事は患者様向けでもありますし、同業者の方々へご参考になればと思いまとめてみました。

【デュピクセント使用量】
2018年7月:6筒
2018年8月:12筒
2018年9月:10筒
2018年10月:23筒
2018年11月:27筒
2018年12月:44筒
2019年1月:33筒
2019年2月:26筒
2019年3月:45筒

当院におけるデュピクセント使用量はこのように推移しています。初期には口頭で説明していただけだったのですが、患者様に治療上の注意点を正しく認識していただくため、下のようなプリントを作成しました。1つずつチェックを入れながら説明するスタイルです。

デュピクセント2019-1

デュピクセントは「患者様を診察室にお呼びし、冷蔵庫から薬剤を取り出してすぐに注射する」ということができないため、医療機関と患者様の間で密に連携する必要があります。それを怠るとスムースな診療を行うことが難しくなってしまいます。

また受付方法は各医療機関で異なるため、その点も医療機関ごとにカスタマイズが必要です。大きく分けると2つあるでしょう。1つは「一般の患者様と同様に受付を行い、デュピクセント治療を受ける患者様の来院を確認した後に、冷蔵庫から出して常温に戻し始める。45分経過した時点で注射する」、もう1つは「来院予定時間を電話連絡していただき、その時間から45分逆算して準備しておく。患者様が到着されたら、速やかに注射する」です。当院は後者です。待合室で待たれている他の患者様より優遇してしまう結果となりますが、治療の特殊性からこのようにさせて頂いております(前者における極端な話ですが、一番最後の患者様が終了間際に来院され、その方がデュピクセント治療だった場合、そこから45分待ち時間が発生してしまいます。スタッフの帰宅時間などクリニックの運営面を考えると、やはり前者の方法は難しいです)。

デュピクセント2019-2

患者様にお電話いただく際には、このように文言を指定させて頂いてます。患者様側からするとデュピクセント治療のために電話しているのですから、「○○です。□時□分に行きます」となってしまいがちですが、電話を受ける受付スタッフ側は数多く受ける電話のうちの1本なので、それだけで切られてしまうと何の要件で来院されるのかが分からない場合があります。結果として「受付スタッフ→看護師→デュピクセントの常温化準備」の流れがうまく行かなかったケースがありました。

同様に患者様が来院された際にも、受付にて「デュピクセント治療のために来ました」と申し出て頂いてます。受付スタッフも本日デュピクセント治療を受ける患者様の氏名は把握していますが、多い日には半日で4名という場合もあるため、「患者様の来院→受付スタッフ→看護師」の流れに間違いが生じないような対策でもあります。

デュピクセント2019-3

デュピクセントは非常に高額な薬剤であるため、廃棄処分などしたら大赤字です。それだけは絶対に避けなくてはならないため、注意事項として説明させて頂いてます。

最後は在庫管理についてです。まず当院では余分な在庫を抱えないようにしています。そのため常に「患者様のご希望を確認してからの発注」としています。そのため初診日には治療を開始することができません(在庫の問題だけでなく、初診日に説明→45分間常温化待機→注射→1時間待機は時間的にも厳しいです)。通常は初診日から3〜7日後に初回注射日としています。

発注方法に関しても徐々に改良していきました。

当初は次回(通常2週間〜1ヶ月後)も治療希望であることを確認したら、その都度発注の電話をしていました。そのため冷蔵庫がデュピクセントで占拠されてしまって困りましたし、使用する予定ではあるものの当院で保管している薬剤数が多くなってしまっていました。当然ですが、それはリスクとなります。停電で冷蔵庫が機能しなくなってしまったら、全てが廃棄処分です。考えただけでも恐ろしいです。

それ以外に使用期限の問題もあります。現在の院内在庫を見ると、全てが2020.07となっていますが、今年の初めに納品されたものは2019.07でした。つまり使用期限まで約半年という薬剤が納品されたということです。当院は院内処方のため数多くの薬剤を管理しています。稀に使用期限まで1年という薬剤もありますが、ほとんどのものは2〜3年の猶予があります。こういった感覚だったこともあり、「使用期限まで約半年しかない!」というのは衝撃的でしたし、より在庫管理をしっかりしないといけないなという意識を持つようになりました。

現在ではデュピクセント管理ノートを作り、以下のように管理しています。
①見開きで1ヶ月分とし、スペースを線で分割し、第1週目、第2週目・・・とそれぞれの枠を作る
②注射後、患者様に次回来院予定日を伺い、ノートに記入する
③毎週月曜日に「翌週」に必要な分のデュピクセントを発注する
④下の写真のように、それぞれの箱に患者様氏名を書いた付箋を貼り、その週に必要な在庫数が確保されているかどうかチェックする(写真では氏名の部分にモザイクを入れてあります)

デュピクセント2019-4

このような方法でやっていてもそれなりの在庫を抱えることにはなりますが、以前よりは確実に少ない数でコントロールできるようになりました。



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