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やっぱりそれが原因だったか! パッチテストの有用性



今年に入ってから立て続けにパッチテストを行っています。以前、「今度パッチテストしてみましょう!」とお話ししていた方々がいらして頂けている状況です。

パッチテストとはアレルギー性皮膚疾患の「アレルゲン(アレルギーの原因物質)の確認」のために行う検査です。食物アレルゲン、花粉アレルゲン、環境アレルゲンなどは採血で分かりますが、皮膚・粘膜に触れるものが原因でアレルギーを起こしているかどうかを判定するためには、直接皮膚に貼付するパッチテストが必要となります。

パッチテストを理解するための過去記事はこちらです。
パッチテストパネルS 院内勉強会
秋になったのでパッチテストを再開します!

当院では下記のように、「ジャパニーズスタンダードアレルゲン」+「金属アレルゲン」というフルセットで検査をお受けいただけます。

パッチテストの結果一覧表

パッチテストによってどのような陽性所見が出て、それによって何が分かるのかについてご紹介します。

今年パッチテストを受けられた方の中に、美容師をされている方がお二人いらっしゃいました。お二人とも「No.1 硫酸ニッケル」と「No.20 パラフェニレンジアミン」が陽性でした。

「パラフェニレンジアミン」は酸化染毛剤の有効成分である「酸化染料」です。美容師、理容師の方々はパラフェニレンジアミンを含んだ染毛剤に触れる機会が多い職業です。繰り返し染毛剤に触れたことにより、パラフェニレンジアミンに感作された(アレルギーを獲得した)ものと思われます。

パラフェニレンジアミンに感作された方が同成分を含んだ染毛剤を素手で直接扱うと、必ずアレルギー性接触皮膚炎を起こします。簡単に言うと、手が荒れるということです。ですから、手袋をして染毛、シャンプーをする、もしくはその業務に関わらないとった対策が必要となってきます。

これは業務だけでなく、患者様ご自身においても同様なので、自分の髪を染める際にも「パラフェニレンジアミンを含んだ染毛剤」は使用できないということになります。

「硫酸ニッケル」はコバルト、クロムと並んで、金属アレルギーの3大原因のうちの1つです。硫酸ニッケルはメッキ処理されたアクセサリーにはほぼ含まれていると考えていい成分なので、患者様お二人ともそういった接触が原因で感作された可能性もあります。

しかし美容師の方がお二人ともなので、「もしかしたら業務で使用するハサミなのでは?」とも考えました。ハサミはステンレス製のことが多く、ステンレスは鉄にニッケルやクロムなどを混ぜた合金です。

肌荒れした手(前述のパラフェニレンジアミンも原因のうちの1つでしょう)は皮膚のバリア機能が破綻した状態です。つまり正常な状態の皮膚に比べ、外界からの物質の侵入を許しやすくなっています。「肌荒れした手」+「ステンレス製ハサミの長時間取扱」は硫酸ニッケルへの感作の原因になった可能性があります。

お一人の方は更に「No.16 黒色ゴムミックス」にも陽性でした。「黒色ゴムミックス」は黒色ゴム製品の老化防止剤3種類が含まれている検査試薬です。また黒色ゴムミックスは「黒色染毛剤の成分であるパラフェニレンジアミン(前述)」と交差感作(一方に感作されると、自然ともう一方に感作が成立してしまう反応)を生じる可能性があるのも特徴です。

黒色ゴムミックスで陽性となると、黒いゴム製品である「タイヤ、サンダル、イヤホン、エスカレーターの手すり、自転車のグリップなど多数の製品」によってアレルギー性接触皮膚炎を生じる可能性が出てきます。患者様にこの情報を伝えると、「え〜、じゃあ毎日握っているスクーターのハンドルグリップも原因だったの??」と驚かれていました。

今回の一連の結果を見ると、パッチテストで陽性となった3種類の成分はそれぞれが関連性があり、「まず最初にパラフェニレンジアミンに感作され、それが誘因となって硫酸ニッケル、黒色ゴムミックスにも感作された可能性」も示唆されました。

このようにパッチテストは「予想してなかったアレルギー性皮膚疾患の原因物質」が見つかる可能性のある検査です。治療を受けていてもすっきりしないような「手湿疹、異汗性湿疹、慢性痒疹、掌蹠膿疱症、扁平苔癬」等でお困りの患者様は、是非一度検査をご検討頂ければと思います。

パッチテストを理解するための過去記事を再度紹介させて頂きます。
パッチテストパネルS 院内勉強会
秋になったのでパッチテストを再開します!



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