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【アトピー性皮膚炎による頚部色素沈着】治療に関する私見



患者様よりお問い合わせを頂きました。

初めまして。40代後半女性です。頚部のアトピー後の色素沈着に長年悩んでおります。

貴院のホームページ、ブログにて色素沈着のレーザー治療などの記事を拝見し、是非先生に診ていただけたらと思いましたが、住まいが名古屋になります。通うことが難しく、先生のご信頼のある医院やお医者さまなど、ご紹介いただくことは可能でしょうか。

何回か皮膚科や美容皮膚科などで診察していただいてはいるのですが、納得のいく説明をなかなか受けることが出来ず、また、そういった先生の元でレーザー治療を受けることに関しても、色素沈着が酷くなってしまうのではないか、など副作用も心配でなかなか踏み切ることができていない状況です。

当院からの返信です。

〇〇様

お問い合わせありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。

ご質問の「名古屋付近の色素沈着治療に長けた医師のご紹介」について回答いたします。

結論から申し上げますと、小生にとって面識のある医師が名古屋付近や関西圏におらず、直接ご紹介するということができない状況です。

レーザー治療分野においてご高名な先生は大勢いらっしゃるので、一般的な情報としてお伝えすることはできますが、「アトピー性皮膚炎による頚部色素沈着へのレーザー治療」という特殊な病状へのレーザー治療を行っているかどうかは確認することができません。

従いまして、「アトピー性皮膚炎による頚部色素沈着」の治療に関して私見を述べますので、治療のご参考になさって頂ければと存じます。

まず初めに、「アトピー性皮膚炎による頚部色素沈着」という病状を改善させるための治療は非常に難しいものとなります。レーザー治療で一般的に取り扱う「アザ、シミ、脱毛」などとは異なり、教科書的に確立された手法が存在しません。実際のところ、「治療できない」と考えている皮膚科医も大勢いると思われます。

当院ではレーザートーニング(QスイッチYAGレーザー 1064nm)を基本とし、必要があればQスイッチアレキサンドライトレーザー(755nm)、プラズマ治療、ケミカルピーリング、イオン導入などを併用しています。

「アトピー性皮膚炎による頚部色素沈着」は病状にばらつきがあり、レーザートーニングに反応しやすいのが「淡く均一に色素沈着したケース」です。この場合はレーザートーニング単独での改善が期待できます。淡い色素沈着に加え、「濃い茶色〜黒色」が混じっていたり、「逆に色が抜けたような白色(脱色素斑)」が混じっていると治療に難渋します。

このようにレーザートーニングだけで全て治るわけではなく、必要なら他の治療も狭いエリアでテスト治療しつつ、有効な手段を探っていくこととなります。クリニックを受診した際、初めに紹介されるのはレーザートーニング(もしくはピコトーニング)だと思いますが、「それで反応しない場合はどのような方法になりますか?」と質問してみたらいかがでしょうか? 医師からは色々な話をしていただけると思うので、そういったやり取りが良い判断材料になるかと思われます。

最後にレーザー治療ではなく、アトピー性皮膚炎自体の治療のお話です。

当院ではアトピー性皮膚炎に「デュピクセント」という注射剤を積極的に用いています。そのデュピクセントを継続していたところ、頚部色素沈着が徐々に改善してきた方がいらっしゃいました。恐らくはっきりとした皮膚炎ではなく、ご自身でも気づかない程度の軽微な皮膚炎が頚部に持続していたため色素沈着が続いていたところ、デュピクセントにより炎症が落ち着き、結果として色素沈着が改善してきたものと考えています。

〇〇様のアトピー性皮膚炎の程度が分からないのですが、「長期的に炎症を抑えることにより色素沈着が改善する場合があるので、そのようなアプローチもありますよ」ということで紹介いたしました。現在、アトピー性皮膚炎の寛解維持として「プロトピック軟膏」、「コレクチム軟膏」、及び「モイゼルト軟膏」といったステロイドが含まれていなく、長期外用でも大きな副作用が発生しない薬もありますので、活用できるかと存じます。

回答は以上となります。
どうぞ宜しくお願いします。



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