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【セミナー】エピデュオゲルの価値を再認識



本日、恵比寿のウィシュトンホテル東京にて開催された「エピデュオゲル発売1周年記念 Acne Treatment Symposium」に参加してきました。

アクネ トリートメント シンポジウム2017

本邦のニキビ治療はこの10年間で劇的な進歩を遂げ、外用剤に関しては世界標準に追いつきました。
・2008年 ディフェリンゲル(アダパレン)
・2015年 ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)、デュアックゲル(過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン)
・2016年 エピデュオゲル(過酸化ベンゾイル+アダパレン)

本日の主役はエピデュオゲルですが、それぞれの薬剤に関して4名のエキスパートの先生方が講演されました。その中から特に印象に残った内容をまとめてみます。

・ニキビ桿菌においてアダパレン、過酸化ベンゾイルには未だに耐性菌の報告がない。
・過酸化ベンゾイルは「バイオフィルムを形成したニキビ桿菌」にも有効

「抗生剤の使用による耐性菌の発生」は、社会的にも広く問題とされているところです。皮膚科医としてもこの問題に取り組むべく、日本皮膚科学会による痤瘡(ニキビ)治療ガイドラインにおいても「抗生剤の使用は急性炎症期の3ヶ月間が望ましい」とされています(もちろん重症度によっては、抗生剤をそれ以上使用する場合はあります)。

2008年にアダパレンが本邦で発売されるまでは、ニキビ治療といえば「抗生剤が主役」でしたが、現在では正反対の状況となっています。抗生剤は必要最低限、その代わり耐性の心配がない「アダパレン、過酸化ベンゾイルが主役」なのです。

「バイオフィルムを形成したニキビ桿菌群」には抗生剤が効きにくくなります(薬剤浸透性の低下、菌の増殖スピードの低下などにより)。それに対して、過酸化ベンゾイルにおいてはバイオフィルムを形成していても、その有効性には影響がないとのことでした。この点も治療上、大変心強いですよね。

・「デュアックゲル」で治療スタート→「ディフェリンゲル」を途中で追加→「エピデュオゲル」での維持療法を最終目標としている

私自身はディフェリンゲル、もしくはベピオゲルによる維持療法が可能なケースにおいては、エピデュオゲルまでは処方していませんでした。それらのうちどちらか1つで治療がうまくいかない場合にのみ、より強力な治療という意味でエピデュオゲルに変更するという方針です。

しかし本日の演者のうち2名の先生方は、上記のように「エピデュオゲルでの維持療法を最終目標」としていました。2名のうちお一人の先生は、「初診時にデュアックゲルとディフェリンゲルを処方し、次回再診日は1ヶ月後。最初の2週間はデュアックゲルを使用し、次の2週間は両方塗るのを試してもらう」としており、最終目標をかなり意識した方針でした。

「抗生剤外用を急性炎症期にのみ限定する」、「維持療法で最も重要なのが、ニキビの初期段階である面皰(めんぽう)形成を予防する」ことを考えると、デュアックゲルは期間限定の使用にとどめ、面皰形成阻害において異なる作用機序を持つ2種類の薬剤が配合されているエピデュオゲルで維持療法を行うことは、大変理にかなっているといえます。

治療に関しては、医師の数だけ治療方針がありますので賛否両論あるかと思いますが、演者の先生方の考え方は私自身にとっても大変参考になりました。

・過酸化ベンゾイルによるアレルギー性接触皮膚炎の発生頻度は2~3%

過酸化ベンゾイルによりアレルギー性接触皮膚炎(かぶれ)を起こしてしまった患者様は、当院においてもいらっしゃいます。アレルギー性なので使用してみるまでは反応してしまうかどうか分かりませんし、使用初期は大丈夫でも2~3週間後に突然反応し始める方もいるため、この問題に関してはある程度やむを得ないのかなと考えていました(もちろん処方時には説明しています)。

しかし演者の先生は「過酸化ベンゾイルによりアレルギー性接触皮膚炎を生じる可能性を、医師はもっと重大な事として考えるべき。そして事前に患者様へしっかりと説明すべき」と力説されていました。「3%ということは、およそ30人に一人ですよ。1日に30人のニキビ患者に過酸化ベンゾイルを処方したら、一人はかぶれるということですから」と。

そう言われると、確かにもっともです。

実際の臨床現場では3%もかぶれてはいないように思えますが、もしかしたらそれを機に他院へ通院先を変えている患者様もいらっしゃるかもしれませんので、今後はより気をつけたいと思います。

・エピデュオゲルにはニキビによる萎縮性瘢痕の予防効果がある

演者の先生がこれに関する論文を紹介されていました。また、同じ先生が「萎縮性瘢痕が残りそうな重症のニキビ症例(多数)」に対しエピデュオゲルにて長期治療した際の臨床経過を、時系列で示されておりました。これはとても分かり易かったです。

「ここまで重症だと、確かにニキビ痕が残りそうだ」と思われた症例でも、最終的には正常な皮膚に回復していましたので、これにはエピデュオゲルに含まれるアダパレン(レチノイド)の効果が高いのではないかと思われました(もちろん絶対に痕が残らないわけではありませんので、念のために)。

本日は大変勉強になりました。関係者の皆様、どうもありがとうございました。



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