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先天性ホクロへの冷凍療法において麻酔の併用は可能?



患者様よりお問い合わせを頂きました。

お世話になっております。

以前、顔のほくろの液体窒素の治療をしていただいた○○○○の母の●●●●と申します。前回の治療ではありがとうございました。

2回目の治療についてですが、前回の治療でかなり痛がっていた事や、月齢が上がりかなり活発になり暴れる事も多いため、不安になってしまい時間があいてしまいました。

今後の治療について検討中なのですが、液体窒素の治療の際に麻酔の使用は絶対に不可でしょうか?

お時間のある際にお返事をいただけたら幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

当院からの返信です。

〇〇様

お問い合わせ頂きありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。

ご質問の「液体窒素による冷凍療法における麻酔併用」について回答いたします。

まず結論から申し上げますと、液体窒素による冷凍療法において麻酔の併用は行っておりません。その理由について、順を追って説明させていただきます。

麻酔を併用するのであれば、局所麻酔(浸潤麻酔)という「治療予定部位に直接針を刺し、麻酔薬を皮膚内に注入する麻酔方法」を行うことになりますが、これが大変な痛みを伴います。「注射針が皮膚に刺さる痛み」に加え「刺激性のある麻酔薬が皮膚内に浸潤していく痛み」も発生するためです。手術時などに皮膚局所麻酔を受けた患者様は、一様に「こんなに痛いとは思いませんでした」とおっしゃいます。痛みの比較は難しいものの、1つの目安としてお伝えしますが、歯科で行われる浸潤麻酔の10倍以上は痛いと思われます。

恐らく麻酔処置に大きな痛みを伴わないと予想されてのご質問なのだと思いますが、実際のところ「痛みを避けるための麻酔処置自体が、実は激痛を伴う」という何とも矛盾した現実がございます。

液体窒素による冷凍療法は痛みを伴う治療ではありますが、皮膚科医としては「麻酔なしでもギリギリ耐えられる痛み」と認識しています。

別の観点からもお話したいと思います。「先天性ホクロへの冷凍療法」をご希望の患者様(親御様)には全員に説明させていただいている内容であり、カルテを確認したところ、●●様にも説明を行っていました。その内容は「有効性や確実性で考えるならば手術>レーザー治療>冷凍療法です。しかし手術やレーザー治療では全身麻酔を行う必要があるため、その必要がない冷凍療法を試してみてはいかがですか?」というものです。

全身麻酔が必要となる理由は、「概ね10歳までは局所麻酔が非常に行いにくいため(できないため)」です。皮膚への局所麻酔は激痛を伴うため耐えることができず動いてしまうため、針を扱う処置には大きなリスクを伴いますし、一旦動揺したお子様はその後も安静を保つことができません。10歳を越えると、恐怖心よりも理性が上回るため、ご本人が納得されれば治療にご協力いただけるようになります。

そもそも「局所麻酔ができないので全身麻酔→全身麻酔を希望しない→麻酔なしでもギリギリ治療可能な冷凍療法」という流れで治療をご選択いただいておりますことをご理解いただければと存じます。

再度の確認ですが、先天性ホクロに対する冷凍療法のメリットとしましては、「手術やレーザー治療に比べて治療効果は劣るものの、無麻酔で行える上、多少動いてしまっても何とか施術可能」という点にあります。

先天性ホクロに対する冷凍療法は、「皮膚が薄く(=ホクロの細胞が浅い位置に局在)、回復力の良い1歳未満のうちに、なるべく多くの回数をこなしたい治療」です。継続を希望される場合は、なるべく早くご来院いただければと存じます。

回答は以上となります。
ご検討ください。

どうぞ宜しくお願いします。



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