アナウンスBlog

慢性痒疹・結節性痒疹の治療は受けられますか?



患者様よりお問い合わせを頂きました。

現在、○天○大学附属○○病院に通院しています。7ヶ月間続く全身の痒みが治らずにいます。内服薬や塗布薬を処方されているものの、一向に症状が改善されません。

現在の病院に5ヶ月間ほど月一回くらいのペースで通院してます。

先生が4回変わったのですが、どの方も身体の一部、全て別の場所をみていて、全身と伝えているにも関わらず塗布薬が足りるような量を処方してもらえず、それを伝えて改善されても、別の先生に変わるとまた薬の量が足りなくなり、同じことを伝えるという事が3回繰り返されています。

○天○大学病院に通院した経緯は、まず1番最初に行った病院で、「何か内科的な原因があるかもしれないので、そちらでの検査を」と勧められました。

そこで内科のある皮膚科に行き、血液検査したもののアレルギー反応などはなさそう、これといった原因はわからないとのことで、内服薬と塗布薬を処方してもらいました。

が、全く効かず眠れないため、再受診をしようと思いましたが、ゴールデンウィークの長期休みとなり、やむを得ず別の皮膚科に受診しました。そこでも処方された薬が効かず、家族から「もっと大きな病院で調べてもらった方がいいのでは」と言われ、○天○大学病院に紹介状を出して頂き、現在にいたります。

○天○大学病院では、痒疹や結節性痒疹ということで伺いました。今のところ一度も血液検査やパッチテストなどをしたことはありません。

主に抗ヒスタミン薬、ステロイド軟膏などを服用、塗布を、3月から続けているものの、痒みで起きる日が続いており、身体中にぶつぶつしたものが増えているような状況で非常につらいです。

次の受診が●●日を予定しているものの、ここ二週間、特に症状がきつく、今までの受診状況にも不安を抱えており、別の病院を探していたところ、貴院のことを夫から聞き、受診したく思いました。

このような状況ですが、診て頂くことは可能でしょうか。

当院からの返信です。

〇〇様

お問い合わせ頂きありがとうございます。
松島皮膚科医院の松島弘典です。

お問い合わせの「痒疹や結節性痒疹の原因となる全身の痒み」について回答いたします。

頂いた文章を拝読する限り、ご自身の症状に合致する診断名として「慢性痒疹」もしくは「皮膚掻痒症」が考えられます。

慢性痒疹は(虫に刺されてもいないのに)虫刺され様の赤く、小さいしこりを伴う3〜10mm程度の隆起性の発疹が、全身に繰り返し出てくる疾患です。非常に強い痒みを伴います。

皮膚瘙痒症は発疹を伴わない、もしくは伴っても非常に軽微な状態にもかかわらず、激烈な痒みを生じてしまう疾患です。あまりにも痒いため、患者様ご自身で力強く皮膚を掻破する結果、医療機関で診察をする時点では皮膚症状(掻破痕、皮膚欠損、広範囲の赤み、点状の隆起性の赤みなど)を有していることがほとんどです。

ちなみに結節性痒疹とは原疾患に関わらず、掻破を繰り返した結果、皮膚がドーム状に隆起してしまった状態を指します。慢性痒疹、皮膚瘙痒症でも結節性痒疹を伴うことがありますし、それ以外にも虫刺症、湿疹、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎など一般的な疾患であっても、掻き続けていれば最終的に結節性痒疹になります。

慢性痒疹や皮膚瘙痒症は教科書的にも原因が多岐に渡っているため、原因検索には各種検査が必要です。
・採血検査
・アレルギー検査
・パッチテスト
・DLST(薬剤誘発性リンパ球刺激試験:薬剤アレルギーを調べる検査)

慢性痒疹や皮膚瘙痒症は検査をしたら必ず原因を究明できる疾患ではありませんが、既に半年以上経過している訳ですので、検査をすることは有益と考えます。

治療方法につきましても、御来院された際に詳しく説明させていただきますが、結節性痒疹が多数出現している場合には強力な注射薬(デュピクセント)が使用できる様になりました(2023年6月より)。本薬剤は従来より重症アトピー性皮膚炎に使用されており、当院でも積極的に使用してきました(アナウンスBlogをご参照ください)。このような治療薬の進歩もありますので、必要性がございましたら本薬剤につきましても説明いたします。

宜しければ一度ご来院ください。

回答は以上となります。
ご検討ください。

なお、今後の来院・受付に関する事務的なご質問は、下記までお電話にてお問い合わせください。
Tel:043-423-3552

どうぞ宜しくお願いします。



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